「しっかり洗顔しているのに、なぜかニキビが治らない」という相談がクリニックでも本当に多いです。実は、ニキビの原因は皮脂の過剰分泌だけではありません。肌のバリア機能が低下していることが背景にあるケースも少なくないんですね。この記事では、2024年の研究をもとに、ニキビの原因を「バリア機能の低下」と「皮脂」の2つの視点から整理し、それぞれに合った改善法をお伝えします。
乾燥しているのにニキビが出る理由
乾燥しているのにニキビが出るという相談がよく来ます。脂性肌だけの悩みだと思われがちですが、乾燥でバリア機能が低下すると外部刺激に反応してニキビが出やすくなるんですね。
2024年のMed Sci Monit掲載の研究では、ニキビ肌におけるバリア機能の低下が詳しく整理されています。この研究によると、ニキビができやすい肌では角質層(肌の一番外側にある薄い膜)の水分量が減少し、経皮水分蒸散量(TEWL:肌から水分が逃げていく量)が増加していることが示されました。つまり、肌が乾燥しやすく、外からの刺激に弱くなっている状態です。
また、同じ研究では、ニキビ肌ではセラミド(肌のバリアを守る成分)やフィラグリン(角質層の保湿に関わるタンパク質)の減少も報告されています。バリア機能が弱まると、肌を守ろうとして皮脂が過剰に分泌されることがあり、これがニキビの悪化につながる可能性があるとされています。
ただし、この研究はニキビ肌の特徴を整理したレビュー論文であり、特定の治療法の効果を検証したものではありません。自分の肌がどちらのタイプに近いかを見極めることが大切です。
原因別:バリア機能の低下が疑われる場合
朝は乾燥するのに、日中はTゾーンだけテカる。頬や顎にポツポツとニキビができる。こうした状態は、バリア機能の低下が背景にあるかもしれません。
先ほどの2024年の研究では、バリア機能が低下したニキビ肌には、セラミドやナイアシンアミド(ビタミンB3の一種で、肌のバリアをサポートする成分)を含む保湿剤が有効な可能性があると整理されています。洗顔後に肌がつっぱる感覚がある方は、洗浄力の強いクレンジングを見直すことも選択肢の一つです。
私自身、20代の頃に拭き取りシートを毎日使っていたら頬に赤みが出るようになったことがあります。やめたら2週間で落ち着きました。摩擦の怖さを自分で経験して初めて実感したんですね。ニキビを治そうとして洗いすぎたり、強い成分を使いすぎたりすると、逆にバリア機能が壊れて悪化することがあります。
具体的なケアのポイント
- 洗顔は1日2回まで。朝はぬるま湯だけでも十分なことが多いです
- セラミドやナイアシンアミド配合の保湿剤を取り入れる
- 化粧水をパシャパシャたくさんつけるより、適量を丁寧になじませる方が効果的です
- タオルでゴシゴシ拭くのは避けて、優しく押さえるように拭く
ただ正直なところ、ナイアシンアミド配合の美容液を試して赤みが出たという相談もあります。成分自体が悪いのではなく、濃度が高すぎるものを最初から毎日使っていたのが原因だったケースがほとんどでした。肌本来の力を引き出すには、いきなり高濃度のものを使うより、低濃度から始めて様子を見る方が安心です。
原因別:皮脂の過剰分泌が気になる場合
朝起きたら顔全体がベタベタ、日中もファンデーションが崩れやすい。こうしたタイプは、皮脂そのものにアプローチする方法が選択肢になります。
2026年のJ Am Acad Dermatol掲載の研究では、1726nmという特定の波長を持つレーザーが皮脂腺を選択的にターゲットにする治療法として報告されています。この研究は、さまざまな肌タイプの参加者を対象にした1年間の追跡調査で、ニキビの重症度スコアが改善したという結果が出ています。
ただし、この研究はレーザー治療を受けた人を対象にしたもので、日常のスキンケアで同じ効果が得られるわけではありません。また、レーザー治療は費用や通院の負担もあるため、まずはセルフケアで改善できるか試してから検討する方が現実的だと思います。
セルフケアでできること
- 皮脂を取りすぎない洗顔料を選ぶ(洗浄力が強すぎると反動で皮脂が増えることがあります)
- 油分の少ないジェルタイプの保湿剤を使う
- 寝る直前のスマホは控える(睡眠の質が下がると皮脂分泌が乱れやすくなります)
ニキビが治らないと来た方が、実は毛嚢炎(毛穴の奥で起きる細菌感染)だったケースも何度かあります。見た目が似ているので自己判断でニキビケアをしても改善しないどころか悪化することがあるんですね。長期間治らない場合は皮膚科で確認することをおすすめします。
無理なく続けられるケアを選ぶ
研究データはあくまで参考です。対象者の年齢・体質・生活環境が違えば結果も変わります。2024年のバリア機能に関する研究も、2026年のレーザー研究も、特定の条件下での結果であり、すべての人に当てはまるとは限りません。
高価な化粧品より、正しい順番と量が大事だと日々感じています。継続できるシンプルなケアが最強だと思っているので、まずは自分のニキビの原因がどちらに近いのかを観察するところから始めてみてください。
まとめ
ニキビ肌のスキンケアは、「とにかく皮脂を取る」だけでは改善しないことがあります。バリア機能の低下が原因なら保湿を重視、皮脂の過剰分泌が原因なら油分コントロールを意識する。この2つの視点で自分の肌を観察してみてください。
無理なく続けることが大切です。気になる症状が長引く場合は、自己判断せず皮膚科を受診することも選択肢に入れていただけたら嬉しいです。
参考文献
本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。
- Deng Y et al. (2024) Skin Barrier Dysfunction in Acne Vulgaris: Pathogenesis and Therapeutic Approaches.. Med Sci Monit. [PubMed]
- Goldberg D et al. (2026) Safe and effective acne treatment across skin types with a 1726 nm sebum-selective laser: One year data from a prospective multicenter study.. J Am Acad Dermatol. [PubMed]
※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。