ヘチマ化粧水の保湿効果とは?美容皮膚科経験者が教える正しい使い方

ライター:田中 美咲

先日、実家に帰ったときのことです。母が使っていた年季の入った化粧水ボトルを見て、「これ、ヘチマ水?」と思わず声をかけました。懐かしいという感覚と同時に、最近SNSでヘチマ化粧水を見かける機会が増えていたことを思い出しました。シンプルな成分で肌にやさしいという点が、今の時代に改めて評価されているのだと感じています。

クリニック勤務時代、「昔使っていたヘチマ水をまた使い始めたいのですが、今の肌に合うか心配で」という相談を受けたことがあります。その方は40代で、若い頃は問題なく使えていたものの、年齢とともに肌質が変わったことで不安を抱えていました。結論からお伝えすると、ヘチマ化粧水は保湿力に優れ、敏感肌の方にも試しやすいアイテムです。ただし、すべての方に合うとは限らないため、この記事ではその特徴と注意点を丁寧にお伝えしていきますね。

ヘチマ化粧水とは?保湿に注目される理由

ヘチマ化粧水

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台湾産ヘチマ水使用の保湿ミスト。敏感肌向け。

ヘチマ化粧水は、ヘチマの茎から採取される天然の樹液(ヘチマ水)を主成分とした化粧水です。日本では江戸時代から「美人水」として親しまれてきた歴史があり、おばあちゃんの知恵袋的な存在として知られています。

では、なぜ今また注目されているのでしょうか。その理由のひとつに、成分のシンプルさがあります。最近は「〇〇配合」と成分を足すスキンケアが主流ですが、敏感肌の方や肌トラブルを抱えている方の中には、「何が原因かわからない」という悩みを持つ方が少なくありません。クリニックでも、複数の製品を重ねて使った結果、どの成分が合わなかったのか特定できないケースを何度も見てきました。

その点、ヘチマ化粧水は成分がシンプルなものが多く、肌に合うかどうかを判断しやすいという利点があります。もちろん、シンプルだから万能というわけではありませんが、「引き算のケア」を試したい方には選択肢のひとつになるでしょう。

私自身、20代前半に敏感肌で苦しんでいた時期があります。新しい化粧品を試すたびに赤みや乾燥が出て、何が原因かわからないまま悪化させていました。最終的にシンプルなケアに戻したら1週間で落ち着いたのですが、その経験があるからこそ、成分がわかりやすいアイテムの価値を実感しています。

研究で示されたヘチマの保湿・肌への働き

「昔からいいと言われているけど、本当に効果があるの?」という疑問を持つ方もいらっしゃいますよね。実は、ヘチマに関する研究も進んでいます。

2021年にBiochemical and Biophysical Research Communications誌に掲載された研究では、ヘチマの茎から採取した樹液(Luffa cylindrica stem sap)が皮膚の線維芽細胞に与える影響が調べられました。この研究は試験管内(in vitro)で行われたもので、ヒトの皮膚線維芽細胞を対象に、ヘチマ樹液の濃度を変えて細胞への影響を観察しています。結果として、細胞の増殖やコラーゲン産生に関わる働きが確認されました。

さらに、2022年の同誌に掲載されたフォローアップ研究では、脂肪前駆細胞と皮膚線維芽細胞の両方を対象に、ヘチマ樹液の作用がより詳しく分析されました。こちらも試験管内での実験であり、特定の濃度範囲で細胞活性が高まることが示されています。

ただし、正直なところ、これらは試験管内の実験結果であり、実際に人の肌に塗ったときに同じ効果が得られるかは別の話です。研究の対象は培養細胞であり、年齢や肌質、生活環境が異なる私たちの肌にそのまま当てはまるとは限りません。研究データはあくまで参考として捉え、自分の肌で試して確認することが大切だと思っています。

関連して、2024年にNatural Product Research誌に掲載された研究では、ウリ科植物から抽出されたペクチン様多糖類の保湿効果が調べられています。この研究ではメロン果肉由来の成分が対象でしたが、ウリ科植物全般に含まれる多糖類が肌の水分保持に寄与する可能性が示唆されました。ヘチマも同じウリ科植物であることから、類似のメカニズムが期待できるかもしれません。

ヘチマ化粧水の効果的な使い方と保湿のコツ

研究の話が続いたので、ここからは実践的な使い方についてお話ししますね。ヘチマ化粧水を使うときに意識してほしいポイントをまとめました。

洗顔後すぐに使う

洗顔後の肌は水分が蒸発しやすい状態です。タオルで優しく押さえるように水分を拭き取ったら、できるだけ早くヘチマ化粧水をなじませてください。ゴシゴシ拭くのは肌への刺激になるので避けましょう。

適量を手のひらで温めてから

化粧水をパシャパシャとたくさんつければいいわけではありません。500円玉大程度を手のひらに取り、両手で軽く温めてから肌に押し込むようになじませると、浸透感が高まります。コットンを使う方もいますが、敏感肌の方は手でつける方が摩擦を減らせておすすめです。

重ね付けは2〜3回まで

乾燥が気になる部分には重ね付けが効果的です。ただし、何度も重ねすぎると肌表面がベタついたり、かえって浸透しにくくなることもあります。2〜3回を目安に、肌がもっちりしてきたらストップのサインです。

その後の保湿剤で蓋をする

ヘチマ化粧水だけでは水分が蒸発してしまうことがあります。化粧水の後には乳液やクリームで油分を補い、水分を閉じ込めるステップを忘れないでください。高価な化粧品より、正しい順番と量が大事だと私は考えています。

敏感肌ケアの基本について詳しく知りたい方は、敏感肌のための基本スキンケアガイドも参考にしてみてください。また、保湿剤の選び方については乾燥肌におすすめの保湿クリームの選び方で詳しく解説しています。

ヘチマ化粧水が合わない場合もある

ここまでヘチマ化粧水の良い点をお伝えしてきましたが、すべての方に合うわけではありません。この点は正直にお伝えしておきたいと思います。

クリニック勤務時代、「天然成分だから安心」と思い込んで使い続けた結果、肌荒れが悪化してしまった方を見たことがあります。天然由来であっても、植物成分にアレルギーがある方には刺激になることがあるのです。ヘチマはウリ科植物なので、ウリ科にアレルギーがある方は特に注意が必要です。

また、製品によってはヘチマ水以外の成分(防腐剤やエタノールなど)が含まれていることもあります。シンプルな成分のものを選んでも、その他の添加物が肌に合わない場合もあるため、初めて使うときは腕の内側などでパッチテストを行うことをおすすめします。

使い始めて赤みやかゆみ、ピリピリ感が出た場合は、無理に使い続けず中止してください。スキンケアの効果は個人差が大きく、合う合わないは実際に試してみないとわからないことが多いです。

肌トラブルが続く場合の対処法については、肌荒れが治らないときの皮膚科受診の目安もあわせてご覧ください。

まとめ

ヘチマ化粧水は、シンプルな成分で肌にやさしい保湿ケアを求める方に適したアイテムです。研究では細胞レベルでの働きが確認されていますが、試験管内の結果であり、実際の肌での効果には個人差があります。

使い方のポイントは、洗顔後すぐに適量を手で温めてなじませ、その後に乳液やクリームで蓋をすること。継続できるシンプルなケアこそ、長期的に肌を整える近道だと私は考えています。

ただし、天然成分だから万能というわけではなく、合わない方もいます。初めて使う際はパッチテストを行い、肌の反応を確認しながら取り入れてみてください。自分の肌と対話しながら、最適なケアを見つけていただければ嬉しいです。

参考文献

本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。

  1. Sripisut T et al. (2024)
    Pectin-like polysaccharide extracted from Cucumis melo pulp: physicochemical, antioxidant, and skin hydration efficacy..
    Nat Prod Res. [PubMed]
  2. Lee J et al. (2021)
    Evaluating the effect of Luffa cylindrica stem sap on dermal fibroblasts; An invitro study..
    Biochem Biophys Res Commun. [PubMed]
  3. Lee J et al. (2022)
    An in vitro evaluation of luffa cylindrica stem sap in preadipocytes and dermal fibroblasts..
    Biochem Biophys Res Commun. [PubMed]

※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

田中 美咲

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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