SNSが変えた美容ブランド戦略|ヘチマ保湿の再注目から学ぶ消費者との向き合い方

ライター:田中 美咲

先日、久しぶりに実家に帰ったとき、母が使っていたヘチマ水を見て懐かしくなりました。子どもの頃、祖母が庭で育てたヘチマから化粧水を作っていたのを思い出したんです。「古い」と思っていたものが、今またSNSで話題になっている。美容の流行って、本当に不思議ですね。

クリニック勤務時代、患者さんから受ける質問の内容が年々変わっていくのを肌で感じていました。5年前は「この化粧品、良いですか?」という感覚的な質問が多かったのに、最近は「ヘチマの保湿成分って、セラミドと併用しても大丈夫ですか?」のように、かなり具体的になっています。これってSNSの影響が大きいと思うんです。

SNSマーケティングが美容業界に与えた変化

30代前半のある患者さんとの会話が、今でも印象に残っています。「TikTokで見たヘチマ保湿がすごく良いって聞いて試したんですけど、なんか合わなくて…」と相談されたんですね。詳しく聞くと、その方は乾燥肌だと思い込んでいたけれど、実際は混合肌。ヘチマ水だけでは油分が足りなかったんです。

SNSの美容情報は、良くも悪くも「誰かの成功体験」が拡散されやすい構造になっています。2021年にKim & Koが発表した研究では、SNSマーケティング活動(SMMAs)が消費者の満足度やブランドロイヤルティに影響を与えることが報告されています。この研究は韓国の化粧品ブランドを対象に、20〜30代の女性302名にオンライン調査を実施したもので、エンターテインメント性・インタラクション・トレンド性・カスタマイズ・口コミの5要素が分析されました(論文リンク)。

ただし、この研究は韓国市場に限定されており、日本の消費者行動にそのまま当てはまるかは慎重に考える必要があります。文化的な違いや、使用されているSNSプラットフォームの違いもありますからね。

ヘチマ保湿が再注目される理由と注意点

ヘチマに含まれるサポニンやペクチンには、肌を柔らかくする働きがあるとされています。昔から日本で使われてきた理由も、この穏やかな保湿力にあるのかもしれません。

でも正直なところ、ヘチマ保湿が万能かというと、そうでもないと私は思っています。クリニックで見てきた経験から言うと、ヘチマ水単体では保湿力が物足りないと感じる方が3〜4人に1人くらいいらっしゃいました。特に30代以降で皮脂分泌が減ってきた方は、セラミドやスクワランなど油分を補うアイテムとの併用が必要になることが多いです。

セラミドについてもう少し詳しく知りたい方は、セラミドの種類と選び方の記事も参考にしてみてください。ヒト型セラミドと植物性セラミドの違いなど、選ぶときのポイントをまとめています。

それから、ヘチマ保湿製品を選ぶときに気をつけてほしいのが、添加されている他の成分です。「ヘチマ配合」と書いてあっても、エタノールが多く含まれていると敏感肌の方には刺激になることがあります。成分表示の最初の方にエタノールがあるかどうか、ちょっとチェックしてみてくださいね。

美容ブランドのSNS戦略から学ぶこと

最近の美容ブランドは、単に商品を宣伝するだけでなく、「使い方」や「肌悩み別の選び方」まで発信するようになりました。これはとても良い傾向だと思います。

ある国内ブランドが、ヘチマ保湿化粧水の使い方動画をInstagramで公開したところ、「化粧水の後に何を重ねればいいか」という質問が殺到したそうです。ブランド側がその声を拾って、翌週には「乾燥肌向けの重ね方」「脂性肌向けの使い方」と、タイプ別のコンテンツを追加していました。

この双方向のコミュニケーションこそ、SNSマーケティングの本質なのかもしれません。一方通行の広告では得られなかった「消費者の本当の困りごと」が見えるようになった。

ただ、気になる点もあります。SNSでバズった商品が必ずしも自分の肌に合うとは限らないということ。敏感肌でお悩みの方は、敏感肌対策の基本ガイドもあわせて読んでいただけると、自分に合った選び方のヒントが見つかるかもしれません。

情報過多の時代に、自分の肌と向き合うために

クリニック勤務5年目のとき、1日に10人以上の方から「結局、何を使えばいいかわからない」という相談を受けた日がありました。みなさん、情報を集めすぎて混乱している状態だったんです。

私自身も20代前半、敏感肌に悩んで色々な化粧品を試しては失敗していた時期があります。SNSで話題の商品を次々試して、赤みが出て、また別のものを探して…。結局、シンプルなケアに戻したとき、1週間ほどで肌が落ち着いたんですよね。

SNSの情報は参考にしつつも、最終的には自分の肌で試して判断することが大切だと思っています。研究データも、対象者の年齢や体質、生活環境が違えば結果も変わります。だから「これが絶対正解」とは言いにくいことが多いんです。

ヘチマ保湿も、合う方には本当に良いアイテムです。でも、合わない方もいる。その事実を知った上で、自分の肌の声を聞いてあげてほしいなと思います。

まとめ

SNSマーケティングの発展で、美容情報へのアクセスは格段に良くなりました。ヘチマ保湿のような昔ながらの成分が再評価されているのも、SNSの力が大きいと感じています。

ただ、情報が増えた分だけ、「自分に合うもの」を見極める力も必要になってきました。ブランドの発信を参考にしながら、最後は自分の肌と相談する。その姿勢が、結局は一番の近道なのかもしれません。

今日は少し疲れていて、いつもより言葉が少なめになってしまいました。でも、伝えたかったことはシンプルです。SNSの情報も、古くからあるヘチマ保湿も、使うのは「あなたの肌」。だから、最終的にはご自身の感覚を信じてあげてくださいね。

田中 美咲

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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