肌のバリア機能とは?低下する原因と今日からできるケアを元美容皮膚科スタッフが解説

ライター:田中 美咲

洗顔後、肌がつっぱって何を塗っても乾燥が収まらない。そんな経験はありませんか?実はその不快感の多くは、肌の「バリア機能」が弱っているサインかもしれません。

私自身、20代前半のころは重度の敏感肌で、化粧品を変えるたびに赤みや乾燥が出ていました。いろいろ試しては悪化させ、最終的にシンプルなケアに戻したら1週間で落ち着いたんです。あのとき学んだのは、バリア機能を理解することがスキンケアの土台になるということでした。

今回は、バリア機能とは何か、そしてなぜ低下してしまうのかを、クリニック勤務時代の経験と最新の研究をもとにお話ししますね。

バリア機能とは?肌を守る「見えない壁」の正体

バリア機能とは、肌の最も外側にある角層(かくそう)が持つ防御システムのことです。角層は約0.02mmと非常に薄いのですが、この薄い層が外部刺激から肌を守り、内側の水分が逃げないようにしています。

イメージとしては、レンガとモルタルの壁に近いですね。角層細胞がレンガ、その間を埋めるセラミドなどの脂質がモルタルの役割を果たしています。このどちらかが崩れると、隙間から水分が蒸発したり、花粉やホコリといった刺激物質が入り込みやすくなったりします。

2023年のJ Invest Dermatol誌の研究では、ガスダーミンAというたんぱく質が角層の形成に重要な役割を持つことが報告されています。このたんぱく質が不足すると、バリア機能の再生がうまくいかず、アトピー性皮膚炎のような症状が悪化する可能性があるとのこと。ただし、この研究はマウスを対象としたものなので、人間にそのまま当てはまるかはまだわかっていません。でも正直なところ、こうした研究を読むと「バリア機能って思っていた以上に繊細な仕組みなんだな」と改めて感じます。

バリア機能が低下する5つの原因

クリニック勤務時代によく聞いたのは「特別なことはしていないのに肌が荒れる」という声でした。実際、日常の何気ない習慣がバリア機能を傷つけていることが多いんです。

1. 洗いすぎ・こすりすぎ

洗顔は1日2回までが目安だと私は考えています。朝のクレンジングは基本的に不要で、必要以上に皮脂を取り除くと乾燥が加速してしまいます。また、洗顔後にタオルでゴシゴシ拭くのは絶対NGです。優しく押さえるように拭くだけで、角層へのダメージはかなり減らせます。

2. 紫外線ダメージの蓄積

紫外線は角層のセラミドを減少させ、バリア機能を弱めます。日焼け止めは季節問わず毎日必須。これだけは私が絶対に妥協しないポイントです。曇りの日でも紫外線の約8割は地表に届いているので、「今日は大丈夫」と油断しないでくださいね。

3. 乾燥した環境

冬場やエアコンの効いた室内は、湿度が40%以下になることもあります。角層の水分量が減ると、バリア機能は一気に低下します。加湿器を使う、保湿剤をこまめに塗り直すといった対策が効果的という方も多いです。

4. 栄養不足とビタミンD

最近注目しているのがビタミンDの働きです。2023年のInt J Mol Sci誌の研究では、活性型ビタミンD3がアトピー性皮膚炎モデルマウスのバリア機能低下を軽減したと報告されています。ビタミンDは日光を浴びることで体内でも作られますが、日焼け止めを塗っていると合成量が減るというジレンマもあるんですよね。サプリメントや食事から補うことを検討してみてもいいかもしれません。ただ、この研究もマウス対象なので、人間で同じ効果が得られるかは今後の研究待ちです。

5. 睡眠不足とストレス

最近読んだ研究で、睡眠の質が低いと肌の老化が進むというデータがあり、改めて睡眠の大切さを実感しています。寝ている間に肌は修復されるので、慢性的な睡眠不足はバリア機能の回復を妨げます。寝る直前のスマホは肌の大敵。ブルーライトと睡眠の質低下でニキビが増えやすくなるという方もいます。

バリア機能を守るために今日からできること

高価な化粧品より、正しい順番と量が大事だと私は思っています。継続できるシンプルなケアが最強なんですよね。

まずは洗顔を見直してみてください。朝は水だけ、夜はクレンジングと洗顔を1回ずつ。化粧水をパシャパシャたくさんつければいいわけではなく、適量を丁寧になじませる方が効果的です。その後、セラミド配合の保湿剤で角層の隙間を埋めてあげると、水分の蒸発を防ぎやすくなります。

ただ、セラミドが全員に効くわけではありません。私のようにシンプルなケアが合う人もいれば、別の成分が合う人もいます。だから「これが正解」とは言いにくいのが正直なところです。自分の肌で試して確認することが、結局いちばん確実だと思っています。

まとめ

バリア機能は、肌の角層がつくる「見えない壁」。洗いすぎ、紫外線、乾燥、栄養不足、睡眠不足といった日常の積み重ねで簡単に崩れてしまいます。最新の研究でも、バリア機能に関わるたんぱく質やビタミンDの重要性が少しずつ明らかになっていますが、研究対象や条件が異なるため、自分に当てはまるかは試してみないとわかりません。

まずは今日の洗顔から見直してみてください。優しく洗う、優しく拭く。それだけでも肌の感触が変わってくるかもしれませんよ。関連記事として敏感肌のスキンケア方法セラミド配合化粧品の選び方もぜひ参考にしてみてくださいね。

参考文献

本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。

  1. Huang LY et al. (2023)
    Gasdermin A Is Required for Epidermal Cornification during Skin Barrier Regeneration and in an Atopic Dermatitis-Like Model..
    J Invest Dermatol. [PubMed]
  2. Umehara Y et al. (2023)
    Calcitriol, an Active Form of Vitamin D3, Mitigates Skin Barrier Dysfunction in Atopic Dermatitis NC/Nga Mice..
    Int J Mol Sci. [PubMed]

※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

田中 美咲

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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