SNSで話題の美容ブランド戦略とヘチマ保湿ミスト化粧水が選ばれる理由

ライター:田中 美咲

「この化粧水、インスタで見て気になってるんですけど、本当に効きますか?」

クリニック勤務時代、こんな質問が増え始めたのは5年ほど前からでしょうか。以前は「肌荒れに効く成分は?」という聞き方だったのが、今は「SNSで〇〇さんが使ってたやつ」という入り口に変わってきました。私自身、夜にスマホでスキンケア情報を眺めることも多いですし、その影響力の大きさは肌で感じていますね。

今回は、美容ブランドがどんなSNS戦略で私たちの心を動かしているのか、そして最近じわじわ人気が出ているヘチマ配合の保湿ミストや化粧水がなぜ選ばれるのか、研究データと現場経験を交えてお話しします。

SNSマーケティングが美容業界を変えた背景

数年前まで、化粧品を選ぶときの情報源は雑誌や店頭のテスターが中心でした。でも今は違いますよね。Instagramのストーリーズで流れてきた美容液、TikTokで見た「3秒で潤う」というミスト、YouTubeのレビュー動画…。情報が多すぎて、むしろ「何を信じればいいのかわからない」という相談がクリニックでも増えていました。1日10〜20人の肌相談を受けていた頃、最も多かったのがまさにこの「情報過多による混乱」だったんです。

2025年にActa Psychologica誌に掲載された研究では、SNSマーケティング活動(SMMAs)がバイオコスメへの消費者満足度と購入意向に与える影響が調査されています。具体的には、企業のSNS上でのエンターテインメント性、インタラクション、トレンド性、カスタマイズ性、口コミといった要素が、消費者の態度形成に複合的に作用することが示されました。

ただし、この研究はバイオコスメという特定カテゴリーが対象で、一般的な化粧品すべてに当てはまるとは言い切れません。それでも、「なんとなく良さそう」から「成分や製法まで知りたい」へと消費者意識が変化している傾向は、私が現場で感じていたこととも一致していて、興味深かったですね。

Z世代が美容情報を選ぶ基準の変化

20代前半の患者さんと話していると、「成分表示を見てから買う」という方が本当に増えました。昔の私だったら考えられないことです。実は私自身、20代前半に敏感肌でかなり苦しみました。頬が赤くなって、触るとヒリヒリする。ファンデーションを塗ると余計に目立つ。それがストレスで、「とにかく清潔にしなきゃ」と1日3回洗顔して、タオルでゴシゴシ拭いていたんです。

結果は最悪でした。肌のバリア機能が壊れて、何をつけても沁みる状態に。皮膚科に駆け込んで、ようやく「洗いすぎが原因」と指摘されたときの衝撃は今でも覚えています。それから洗顔を1日2回に減らし、化粧水も叩き込むのではなく、手のひらで優しく押さえるように変えました。2週間ほどで赤みが引き始め、1ヶ月後には人前でも気にならないくらいまで回復したんです。

2025年のPLoS One誌に掲載された研究では、Z世代におけるSNSマーケティング活動がオーガニックコスメの購入意向と電子口コミ(eWOM)に与える影響が調べられています。18〜27歳の消費者を対象にしたこの調査では、SNS上の情報が購買行動だけでなく、その後の口コミ発信にも影響することが確認されました。

でも正直なところ、SNSで見た情報をそのまま信じてしまうリスクもありますよね。私がクリニックで見てきた中には、インフルエンサーが勧めていたケア方法を試して肌荒れが悪化したケースもありました。毛嚢炎とニキビの区別がつかず、ニキビ用の強い成分を毛嚢炎に使い続けていた方もいます。情報を発信する側と受け取る側、どちらにも責任があると思うのですが、難しい問題ですね。

ヘチマ配合の保湿ミスト・化粧水が注目される理由

最近、SNSでちらほら見かけるようになったのがヘチマ配合のスキンケア製品です。「おばあちゃんが使ってた」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実はヘチマ水には保湿成分であるサポニンやアミノ酸が含まれていて、肌の水分保持に役立つとされています。

特に人気なのが、ミストタイプの化粧水ですね。メイクの上からシュッとひと吹きできる手軽さが、忙しい日中の保湿にちょうどいい。私も乾燥が気になる季節は、デスクワーク中にミストを使うことがあります。ただ、ミストだけで十分な保湿ができるかというと、それは肌質や環境によります。エアコンの効いたオフィスでは、ミストの水分がすぐ蒸発して、かえって乾燥を感じる方もいるんです。

ヘチマ化粧水を選ぶときは、他に配合されている成分もチェックしてみてください。グリセリンやヒアルロン酸が入っていると、水分を肌に留める力が上がりますね。ただし、香料やアルコールが苦手な敏感肌の方は、成分表示を確認してからパッチテストをするのがおすすめです。全員に合う化粧品は存在しないので、自分の肌で試して判断することが大切だと思っています。

美容ブランドのSNS戦略から学ぶ賢い情報の選び方

2024年にAesthetic Plastic Surgery誌に掲載されたGEMS Bond調査では、世代ごとのSNSや口コミ、ブランドアイデンティティの影響が分析されています。この調査によると、若い世代ほどSNSの影響を受けやすい一方で、すべての世代で「信頼できるレビュー」を重視する傾向が見られました。

また、2025年のSkin Appendage Disorders誌の研究では、SNSで青少年向けにマーケティングされるヘア製品の実態が調査されています。若年層をターゲットにしたマーケティングが増えている現状は、スキンケア製品にも当てはまることでしょう。

私がおすすめしたいのは、SNSで気になる製品を見つけたら、すぐ購入するのではなく「成分」「自分の肌悩み」「使い方」の3点を確認するステップを挟むことです。クリニック勤務時代、「SNSで見て買ったけど合わなかった」という相談は本当に多かったんです。でも、その経験があるからこそ、次は自分に合うものを見つけやすくなる、という側面もあります。失敗も学びのうち、と思えるようになったのは、自分自身がたくさん遠回りしてきたからかもしれませんね。

まとめ

SNSマーケティングは、美容ブランドと私たち消費者の関係を大きく変えました。ヘチマ配合の保湿ミストや化粧水のように、昔ながらの成分が再評価される流れも、SNSの情報拡散力があってこそです。

ただ、研究データを見ていて感じるのは、SNSの影響力が強まるほど、私たち自身が情報を選ぶ力を持つ必要があるということ。化粧水をパシャパシャたくさんつければいいわけではないし、高価な製品が必ずしも自分に合うとも限りません。

27歳でヨガを始めてから、肌の調子が安定したのは睡眠の質が上がったからだと感じています。外からのケアと内からのケア、どちらも大切。そしてシンプルなケアを継続することが、結局は最強だと思っています。今日は少し疲れているので、完璧な答えは出せませんが、この記事が皆さんの情報選びの参考になれば嬉しいです。

参考文献

本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。

  1. Ngo TTA et al. (2025)
    Leveraging social media marketing activities (SMMAs) to enhance consumer satisfaction and purchase intention for bio-cosmetics..
    Acta Psychol (Amst). [PubMed]
  2. An GK et al. (2025)
    Uncovering the influence of social media marketing activities on Generation Z’s purchase intentions and eWOM for organic cosmetics..
    PLoS One. [PubMed]
  3. Rahman E et al. (2024)
    Generational Exploration on Aesthetic Medicine Products: Influence of Social Media, Reviews, and Brand Identity-GEMS Bond Survey..
    Aesthetic Plast Surg. [PubMed]
  4. Chalupczak NV et al. (2025)
    Hair Products Marketed to Adolescents on Social Media: A Cross-Sectional Study..
    Skin Appendage Disord. [PubMed]

※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

田中 美咲

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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