敏感肌の原因は「バリア機能の低下」にあり?仕組みと対策を現場経験から解説

ライター:田中 美咲

「スキンケアを頑張っているのに、なぜか肌がピリピリする」「季節の変わり目になると必ず荒れる」——クリニック勤務時代、こうした相談を受けない日はありませんでした。敏感肌の悩みを抱える方は本当に多くて、私の体感では来院される方の3〜4割は何らかの敏感肌症状を持っていたように思います。

結論から言うと、敏感肌の多くは「バリア機能の低下」が原因です。肌表面を守る機能が弱まることで、外部刺激に過敏に反応してしまう。今日は、このバリア機能の仕組みと、なぜ低下してしまうのかについて、研究データと現場での経験を交えながらお話ししますね。

バリア機能とは何か——肌を守る「レンガと接着剤」の構造

バリア機能という言葉、よく聞くけれど具体的に何なのかイメージしにくいという方も多いかもしれません。簡単に言うと、肌の一番外側にある角層(かくそう)が、外からの刺激をブロックし、内側の水分を逃がさないようにする働きのことです。

よく「レンガとモルタル」に例えられます。角質細胞がレンガ、その間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質がモルタル(接着剤)の役割を果たしています。この構造がしっかりしていれば、花粉やホコリ、紫外線などの外部刺激から肌を守れますし、内側の水分も蒸発しにくくなります。

でも正直なところ、この「レンガとモルタル」の構造は思った以上にもろいんです。洗いすぎ、摩擦、乾燥、紫外線——日常のちょっとしたことで簡単に乱れてしまいます。

バリア機能が低下する原因——マスクや保湿剤の成分も影響

バリア機能を低下させる要因は一つではありません。クリニックで見ていると、複数の原因が重なっているケースがほとんどでした。

マスク着用による影響

コロナ禍以降、マスクによる肌荒れの相談が一気に増えました。2024年のScientific Reports誌の研究では、マスク着用が敏感肌のバリア機能と皮膚常在菌のバランスに影響を与えることが報告されています。マスク内の蒸れと摩擦が、角層の構造を乱してしまうんですね。

ただしこの研究は敏感肌の方を対象にしたもので、もともと肌が強い方には当てはまらない可能性もあります。それでも、マスクを長時間つける方は、帰宅後すぐに外して肌を休ませることを意識してみてください。

保湿剤に含まれるエタノールの影響

「保湿しているのに乾燥する」という方、使っている製品の成分を確認したことはありますか?2025年のScientific Reports誌に掲載されたパイロット研究では、アトピー性皮膚炎の患者さんを対象に、保湿クリームに含まれるエタノールが肌に与える影響を調べています。エタノールは清涼感を出したり、成分を浸透しやすくする目的で配合されることがありますが、バリア機能が弱っている肌には刺激になる場合もあるようです。

もちろん、エタノール配合だからといって必ずしも悪いわけではありません。配合量や他の成分とのバランス、そして何より自分の肌との相性が大切です。私自身、研究データはあくまで参考だと思っていて、対象者の年齢・体質・生活環境が違えば結果も変わります。気になる方は、腕の内側などで試してから顔に使うことをおすすめします。

洗いすぎという見落としがちな原因

クリニック勤務時代によく聞いたのは、「しっかり洗わないと汚れが落ちない気がする」という声でした。実際、1日3回洗顔している方も珍しくなくて、それが肌荒れの原因になっているケースを何度も見てきました。

洗顔は1日2回までが基本です。洗いすぎると、バリア機能を支えている皮脂や細胞間脂質まで取り除いてしまいます。朝は水やぬるま湯だけで十分という方も多いですよ。

セラミドの役割——バリア機能を支える「接着剤」

バリア機能を語るうえで欠かせないのがセラミドです。先ほどの「レンガとモルタル」で言えば、モルタル部分の主成分がセラミド。角質細胞同士をつなぎとめ、水分を保持する役割を担っています。

Skin Pharmacology and Physiologyに掲載された研究では、セラミドNP C15を含むエモリエント剤(保湿剤)が、敏感肌のバリア機能と皮膚常在菌に与える短期的・長期的な効果を検証しています。二重盲検法という厳密な方法で行われた研究で、セラミド配合製品の可能性を示すデータが得られています。

ただ、セラミド配合の製品なら何でも良いというわけではありません。セラミドにも種類があり、配合濃度や製品全体の処方設計によって効果は変わってきます。「セラミド配合」という言葉だけで判断せず、使い続けてみて自分の肌がどう変化するかを観察することが大切ですね。

まとめ——自分の肌と向き合うことが第一歩

敏感肌の原因は、バリア機能の低下にあることが多いです。マスクの摩擦、保湿剤の成分、洗いすぎ——日常の何気ない習慣が積み重なって、肌のバリアを弱くしてしまいます。

研究データは参考になりますが、それが自分の肌にそのまま当てはまるとは限りません。クリニックで勧めたケアが合わなかった方も正直いましたし、論文を読んでいても研究によって結論が異なることはよくあります。だから「これが正解」とは言い切れないのですが、まずは洗いすぎを見直すこと、自分の肌に合った保湿剤を見つけること、この2つから始めてみてください。

高価な化粧品より、正しい順番と量、そして継続できるシンプルなケアが大事だと私は思っています。焦らず、自分の肌と対話しながらケアを続けていってくださいね。

参考文献

本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。

  1. Zhong S et al. (2024)
    Mask wearing impacts skin barrier function and microbiome profile in sensitive skin..
    Sci Rep. [PubMed]
  2. Celikoglu M et al. (2025)
    A pilot study on the cutaneous effects of ethanol in a moisturizing cream on non-lesional skin of patients with atopic dermatitis..
    Sci Rep. [PubMed]
  3. Dimmers F et al. (2026)
    Monocentric, vehicle-controlled, double-blind study to assess the short- and long-term effects of a Ceramide NP C15-containing emollient on the skin microbiome and the skin barrier function in sensitive skin..
    Skin Pharmacol Physiol. [PubMed]

※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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