敏感肌の原因はバリア機能の乱れ?肌を守る仕組みと整え方を解説

ライター:田中 美咲

新しい化粧水を試したら、なんだかピリピリする。季節の変わり目になると決まって頬が赤くなる。こうした「敏感肌かも」という感覚、きっと多くの方が経験しているのではないでしょうか。

私自身、20代前半は重度の敏感肌で、化粧品を変えるたびに赤みや乾燥が出ていました。あれこれ足してみては悪化して、結局シンプルなケアに戻したら1週間で落ち着いた——この経験から「引き算のケア」の大切さを身をもって知りました。

敏感肌の多くは、肌の「バリア機能」が弱まっていることが原因です。今日は、このバリア機能の仕組みと、なぜ乱れてしまうのかを丁寧にお伝えしていきますね。

肌のバリア機能とは?外部刺激から守る「壁」の役割

バリア機能という言葉、よく聞くけれど具体的に何をしているのかわかりにくいですよね。簡単に言うと、肌の一番外側にある「角層」が、外からの刺激をブロックしながら、内側の水分が逃げないように守ってくれている仕組みのことです。

角層は、レンガとモルタルの壁に例えられることが多いです。角質細胞がレンガ、その間を埋めるセラミドなどの細胞間脂質がモルタルの役割を果たしています。このモルタル部分がスカスカになると、水分が蒸発しやすくなり、外部の刺激も入り込みやすくなってしまうんですね。

2022年のBritish Journal of Dermatologyに掲載された研究では、乾燥肌やアトピー性皮膚炎になりやすい成人を対象に、角層の脂質構造を整えるケアを行ったところ、バリア機能が改善し、外部刺激への耐性が高まったことが報告されています。ただし、この研究は特定のスキンケア製品を使った条件下での結果なので、すべての人に同じ効果があるとは限りません。

敏感肌の原因は一つじゃない——バリア機能が乱れる理由

クリニック勤務時代によく聞いたのは、「特に何もしていないのに急に敏感になった」という声でした。でも詳しく聞いてみると、生活習慣や環境の変化が隠れていることがほとんどでしたね。

洗いすぎ・こすりすぎによるダメージ

朝晩しっかり洗っているのに肌荒れが治らない、という相談を受けて、よく聞くと1日3回洗顔していた——こうしたケースは珍しくありませんでした。洗顔は1日2回までが基本だと思っています。洗いすぎは、せっかくの細胞間脂質まで洗い流してしまい、バリア機能を自ら壊してしまうことになるんです。

洗顔後にタオルでゴシゴシ拭くのも、角層を傷つける原因になります。優しく押さえるように拭くだけで、だいぶ違いますよ。

もともとの体質や過去の肌トラブル

2025年のEuropean Journal of Dermatologyに掲載された研究では、過去にアトピー性皮膚炎の経験がある人は、現在症状がなくてもバリア機能が低下している傾向があることが示されました。つまり、一度肌トラブルを経験すると、その後もバリア機能が弱い状態が続く可能性があるということですね。

ただし、これは体質だから仕方ないという話ではありません。適切なケアを続けることで、バリア機能をサポートすることは十分可能です。

季節・環境の変化

2021年のJournal of Clinical Medicineに掲載された研究では、アトピー性皮膚炎や乾癬の患者さんを対象に、経皮水分蒸散量(TEWL)という指標でバリア機能を測定しています。この数値が高いほど、肌から水分が逃げやすい=バリア機能が弱いことを示します。季節や気温の変化でこの数値が変動することも報告されており、環境要因もバリア機能に影響を与えることがわかりますね。

バリア機能を整えるために大切なこと

では、乱れたバリア機能をどう整えていけばいいのでしょうか。高価な化粧品より、正しい順番と量が大事——これは私がずっと大切にしている考えです。

2025年のBritish Journal of Dermatologyに掲載された最新の研究では、アトピー性皮膚炎になりやすい成人を対象に、セラミドなどの生理的脂質を補うスキンケアを行ったところ、角層のセラミドバランスが整い、バリア機能が強化されたという結果が出ています。

この研究は期待できる内容ですが、対象者は「アトピー性皮膚炎になりやすい体質の人」であり、すべての敏感肌の方に同じ効果があるかはわかりません。論文を読んでいると、同じテーマでも研究によって結論が異なることがよくあるので、「これが正解」とは言いにくいのが正直なところです。

ただ、セラミドを含む保湿剤を選ぶのは一つの選択肢として有効だと思います。化粧水をパシャパシャたくさんつければいいわけではなく、適量を丁寧になじませる方が効果的ですよ。

日焼け止めも忘れずに。紫外線はバリア機能を低下させる大きな要因です。季節問わず毎日塗る、これだけは妥協しないでほしいですね。

まとめ

敏感肌の根本原因は、多くの場合「バリア機能の乱れ」にあります。角層の脂質構造が乱れると、水分が逃げやすくなり、外部刺激にも弱くなってしまいます。

洗いすぎを見直す、セラミドなどで脂質を補う、紫外線対策を毎日行う——シンプルですが、この積み重ねがバリア機能を支える土台になります。

でも正直なところ、スキンケアの効果は個人差が大きいです。研究データはあくまで参考であり、対象者の年齢・体質・生活環境が違えば結果も変わります。だからこそ、自分の肌で試して確認することが大切だと思っています。

焦らず、自分の肌と対話しながら、合うケアを見つけていってくださいね。

参考文献

本記事は以下の研究・論文を参照して作成しました。

  1. Danby SG et al. (2022)
    Enhancement of stratum corneum lipid structure improves skin barrier function and protects against irritation in adults with dry, eczema-prone skin..
    Br J Dermatol. [PubMed]
  2. Cho E et al. (2025)
    Skin condition and barrier function in individuals with a history of atopic dermatitis..
    Eur J Dermatol. [PubMed]
  3. Montero-Vilchez T et al. (2021)
    Skin Barrier Function in Psoriasis and Atopic Dermatitis: Transepidermal Water Loss and Temperature as Useful Tools to Assess Disease Severity..
    J Clin Med. [PubMed]
  4. Andrew PV et al. (2025)
    Topical supplementation with physiological lipids rebalances the stratum corneum ceramide profile and strengthens skin barrier function in adults predisposed to atopic dermatitis..
    Br J Dermatol. [PubMed]

※ 本記事は医療アドバイスを提供するものではありません。健康に関する判断は医療専門家にご相談ください。

田中 美咲

美容皮膚科クリニックに7年間勤務した後、現在は美容・スキンケア専門ライターとして活動。クリニックでの現場経験をもとに、科学的根拠に基づいたスキンケア情報を発信しています。自身も20代の頃から敏感肌に悩んだ経験から、「続けられるシンプルなケア」を大切にしています。

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